【毎月更新!】コラム 最新記事一覧へ戻る

貧乏ゆすりの効果とは~本当は体に良かった

作成日:2022年6月20日

こんにちは!宅食ライフのコラム担当です!
栄養バランスのよい食事をとりたい方へ、お弁当の無料試食はこちらから!

貧乏ゆすりの効果とは~本当は体に良かった

「貧乏ゆすり」はいすに座っているときなど、体の一部分、特に膝やかかとなどを小刻みに揺らし続けている行為を指します。

下肢の不快感などによって意識的に動かしている場合もありますが、無意識にクセとなっている人もいます。

悪いクセや、行儀が悪い行為とされることも多いのですが、健康に良い効果が期待できることがわかってきました。

貧乏ゆすりとは

貧乏ゆすりは、膝を小刻みに動かしてふくらはぎの筋肉の収縮と弛緩を絶えずくり返している状態です。

貧乏ゆすりの語源

「貧乏ゆすり」という言葉は、江戸時代には存在していたと考えられています。

足をゆすることで貧乏神に憑りつかれるという迷信が生まれたそうで、名前の由来には諸説あるようですが、貧乏で食べるものも、着るものもままならないような人が、飢えや寒さで震える様子からきた言葉という説が有力だといわれています。

貧乏ゆすりをしてしまう理由

貧乏ゆすりの原因はいくつかあると考えられており、全てが解明されてはいませんが、本人も無意識のうちにしていることもあれば、貧乏ゆすりをせずにはいられない理由があることもあります。

・レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome : RLS)

レストレスレッグス症候群は「むずむず脚症候群」とも呼ばれ、下肢に不快な症状がおこり、足を動かすとこで和らぐ病気です。

眠ろうと布団に入ったときや、じっと座っているときに足の内側から不快感がおこり、足を動かすと和らぎます。

原因がはっきりとはわからない場合と、鉄欠乏性貧血や糖尿病などの病気や、妊娠などが原因となることがあります

・固着反応

フラストレーションがたまったときに、無意識に貧乏ゆすりをすることがあります。

貧乏ゆすりの他にも、爪をかんだり、ニキビをつぶしたり、自分で髪の毛を抜く、なども同様にストレスを軽減するために無意識にとることがある行為です。

このように無意識に意味のない動作を繰り返すことを「固着反応」と呼び、いずれもストレスとの関係があると考えられています。

・血流の促進

長時間座っていることで下肢の血流が滞ってしまったときに、反射的に貧乏ゆすりをして下肢を動かして血流を促進していると考えることができます。

ジグリングとは

2015年アメリカの医学会誌でロンドン大学などの研究チームが、貧乏ゆすりをする女性は死亡リスクが低いという報告をしました。

長時間座って仕事をする人の健康問題に注目して調査をした結果、「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉を動かすことで全身への血流が促進され、死亡リスクが低減する可能性があると考えられました。

現在は貧乏ゆすりに似た運動は医学用語で「ジグリング(jiggling)」と呼ばれ、さまざまな医療効果が期待できるとして注目されています。

貧乏ゆすりの効果

貧乏ゆすり(=ジグリング)によって、いくつかの病気の予防や改善の効果が期待されています。

変形性股関節症

変形性股関節症は何らかの原因で股関節の軟骨がすり減ってしまい、骨が変形してしまう病気です。

股関節周囲の痛みと、股関節の可動域の制限が主な症状ですが、進行するとじっとしていても痛んだり、左右の足の長さが違ってくることがあります。

変形性股関節症の保存療法のひとつとしてジグリングが行われることがあり、ジグリングの実施によって、変形性股関節症の痛みの軽減、軟骨の再生、関節裂隙(かんせつれつげき=股関節間のすき間)の拡大などの効果が期待できます。

関節軟骨には関節内にある関節液によって栄養が補給されていますが、運動によって栄養補給が促進されると考えられています。

関節の可動域が制限されてくることで関節軟骨の栄養不足によって関節症が進行すると考えられるため、ジグリングによって関節に負荷をかけずに運動ができることで栄養補給が促進され、関節軟骨の状態が改善されるのではないかと考えられています。

エコノミークラス症候群

窮屈な場所で長時間同じ姿勢でいることで血流が悪くなり、血管の中に血のかたまりが作られ、痛みや腫れが生じることがあります。

これを深部静脈血栓症と呼びます。さらに血のかたまりが剥がれて肺の血管に詰まると、胸痛や呼吸苦などが生じます。

これを肺塞栓症といい、これらの症状をエコノミークラス症候群と呼びますが、必ずしも飛行機のエコノミークラスで起きるとは限らず、飛行機以外の交通機関であっても長時間同じ姿勢でいた場合に起こる可能性があります。

ジグリングによってふくらはぎの筋肉が動き、血液の循環が改善されることでエコノミークラス症候群が予防できると考えられています。

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)

ロコモティブシンドロームは2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、加齢や運動不足によって筋肉や関節、骨の機能が落ちていくことによって、歩いたり立ち上がることが困難になった状態です。

たとえ立ち上がることが困難な場合でも、ジグリングによって血流が促進され、ふくらはぎの筋肉の減少を抑制する効果があると考えられています。

冷え・むくみ

ジグリングをする前と後では、ふくらはぎの皮膚の温度が5分後に平均約2度上昇したという実験結果があります。

ふくらはぎの筋肉が動くと、全身の血流が促進されることでむくみの解消も期待できます。

その他

その他にもジグリングには筋肉の疲れをとったり、神経痛や筋肉痛の緩解、認知症の予防などにも効果が期待され、研究が進められています。

正しい貧乏ゆすりの方法

正しい貧乏ゆすりともいえる、ジグリングの方法です。

ジグリングのやり方

1.いすに座って膝の角度が90度か90度以内になるようにします。足が前に出過ぎると股関節に余計な力が入るので注意しましょう。左右の膝は閉じていても開いていても大丈夫です。
2.足の裏をピッタリと床に着けます。床に足が着かないときはいすを変えるか、足の下に雑誌を重ねるなどして高さを調節しましょう。
3.つま先は床に着けたまま、かかとを床から2㎝ほど浮かせて、小刻みに上下させます。動かす速さは自分のペースで、片足ずつでも両足同時でも大丈夫です。
4.1日2時間を目安に3か月続けてみるのが理想的ですが、無理のない範囲でできるだけ多くやってみましょう。ただし、股関節や膝、その他に痛みや違和感が生じたときは中止しましょう。

自動ジグリング器

いすや床に座って足をのせることで、自動的にジグリングの運動ができる機械です。

自力で十分なジグリング運動ができない場合に利用され、医療機関やクリニックなどで導入されていることがあります。

まとめ

貧乏ゆすりは下肢の、特に膝やかかとを小刻みに動かす行為で、悪いクセとして嫌われる行為でした。

しかし近年、貧乏ゆすりにかかわる研究がされており、貧乏ゆすりのような運動は「ジグリング」と呼ばれ、医療機関でも実施されることがあります。

特に変形性股関節症の保存療法としては、痛みの軽減などの効果が期待されており、研究がすすめられています。

また、ふくらはぎの筋肉を動かすことは全身の血流を促進するため、エコノミークラス症候群などの予防にも役立つと考えられています。

血流を改善するためには、ビタミンEやビタミンC、鉄、EPAなどの栄養素も有効です。

日ごろから食事のバランスに配慮して意識的に摂取しましょう。

【宅食ライフ】のお弁当は管理栄養士が監修したメニューです。

栄養バランスが整っているので、どなたでも安心してお召し上がりいただけます。

65歳以上の方限定で、初回のみ一度に2食まで無料でご試食いただけます。

ぜひご利用ください。

この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

記事一覧へ戻る>