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水分不足が引き起こす病気について

作成日:2022年6月21日

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水分不足が引き起こす病気について

人間の身体の約60%は水分であり、そのうちの数%でも減少してしまうと、体調に異変をきたします。

水分が不足すると血液が固まった血栓ができやすくなってしまうため、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気を発症する危険性が高まることも。

このページでは、水分不足が招く病気や予防に効果的な水分補給の方法などについて解説します。

水分が不足するとどうなるの?

人間の場合、子どもでは約70%、成人では約60%、高齢者では約50~55%が水分であり、成長するにつれ、身体の中の水分量は減少していきます。

人間の身体の中の2/3は筋肉など様々な細胞の中にあり、残りの1/3は血液やリンパ液などとして存在しています。

血液は半分以上が血漿という液体でできており、血漿のうち91%が水分です。

血漿には様々な成分が溶けており、身体に必要な栄養や酸素はこの水分にのせて運ばれています。

また、身体の中の水分は、体温を調節する上でも大切な役割があります。

水は、蒸発する時に熱を奪う性質があるため、人間は汗をかくことで体温を一定に保っています。

健康な成人が一日に排出する水分は約2L~2.5Lです。そのうちの1~1.5L程度は尿や便として排出されます。

残りは、皮膚や吐く息などからの水分が失われる不感蒸泄であり、意識とは無関係に一日に約1Lの水分が不感蒸泄によって失われています。

体内の水分バランスの調整は腎臓によって行われています。

排出される水分に対して摂取する水分が少ない場合は、尿を濃縮して水分の排出量を減らし、反対に水分摂取量が多い時は、余分な水分を排出するために尿の量を増やします。

しかし、極端に水分の量が不足すると、血液の流れが悪くなり、免疫力の低下や、脳や内臓の機能の低下などを引き起こします。

また、身体の中の水分のうち、たった4%でも失われると、体温が上昇して熱中症のリスクが増加すると言われています。

水分減少の割合と起こる症状

1%~2% 喉の渇きを強く感じる
2%~3% 頭がボーっとする、食欲が低下する
3%~4% イライラしてくる、発熱や排尿量が減少する
4%~5% ひどい頭痛や疲労が見られるようになる
8%以上 痙攣や意識障害が見られるようになる
20% 死亡の恐れ

高齢者が水分不足になりやすいのはなぜ?

・体内の水分量の減少

加齢によって筋力が低下するため水分を蓄える筋肉が減少することで、体内の水分量が減少していきます。

また、高齢になると食事の全体量が低下したり、飲み込みが難しくなったりするため、水分摂取量が減ることも水分不足の原因となります。

・腎臓機能の低下

加齢によって腎臓の機能が低下し、体内に必要な水分や電解質を留める力が弱まることで、体液のバランスが崩れやすくなります。

・喉の渇きを感じにくくなる

加齢によって感覚機能が低下し、喉の渇きを感じにくくなることで、摂取する水分量が少なくなります。

・薬の影響

血圧を下げる薬や心臓の負担を軽減する薬など、薬によっては利尿効果があり体内の水分が不足しやすい状態となることもあります。

水分不足が原因で起こる病気とは?

・脱水症

脱水症は、身体の中の水分が減少している状態であり、喉の渇きや尿量の減少、肌の蚊の巣などを伴います。

脱水状態が進行すると、脈拍が早くなり、立ちくらみや吐き気、筋肉のけいれんが起こることもあります。

高度な脱水状態となると意識障害や腎臓の機能の低下や低血圧などを引き起こし、命に関わる場合もあります。

高齢者や子どもなどは喉の渇きを感じられなかったり、訴えられなかったりするため、脱水症はしばしば起こります。

健康な成人であってもスポーツをしている時や感染症にかかっている場合に脱水症になることもあります。

・熱中症

熱中症は、体液の不足で起こる障害と体温上昇で起こる障害の総称です。

暑い環境で発汗が続き身体の中の水分が失われると、脱水状態となり、身体はそれ以上水分を失わないように発汗にストップをかけます。

そのため、発汗によって体温が下げられなくなり、体温が上昇します。熱中症は重症度により3つに分類されます。

重症度 主な症状
Ⅰ度 めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返り、発汗、頭痛など
Ⅱ度 激しい頭痛、嘔気、嘔吐、めまい、倦怠感、虚脱感、判断力の低下、頻脈など
Ⅲ度 意識障害、痙攣、高熱(40℃以上)など

・便秘

身体の中の水分が不足すると、腸の動きが悪くなります。

水分が不足していない状態では便に含まれる水分は小腸で80%、大腸で20%吸収されますが、腸の動きが悪くなると、便が腸内に停留している時間が長くなります。

これにより、便に含まれる水分が通常よりも多く腸に吸収され、便が硬くなり、便秘を招きます。

・脳梗塞、心筋梗塞

身体の中の水分が不足すると、血液中の水分も不足するため、血液がドロドロになり血栓ができやすくなります。

脳の血管に血栓が詰まると脳梗塞、心臓の血管に血栓が詰まると心筋梗塞が起こり、命の危険があります。

・うつ病

水分不足は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンとトリプトファンや、必須アミノ酸の生成に影響するため、うつ状態、あるいはうつ病にも関係していると考えられています。

また、水分が不足すると脳内でのエネルギーの生成が妨げられることから恐怖感や不安感などのストレス、情緒障害等が起こることもあります。

・その他

水分が不足し、尿量が低下すると余剰な電解質を排出できなくなります。ナトリウムが蓄積すると、高血圧や浮腫みを招きます。

また、カリウムが排出できないと、不整脈が起こりやすくなります。カルシウムやリンは骨の代謝異常を起こし、骨折や骨格の変形、骨や関節の痛みの原因となります。

さらに、水分不足によって腎臓では造血ホルモンを十分に作れなくなり、貧血を起こすこともあります。

また、免疫不全となって感染症などの病気になりやすくなるなど、全身に様々な影響があります。

水分不足の予防に効果的な水分補給の方法とは?

・こまめに水分を補給する。

水分は一度に多く摂取しても身体はうまく吸収することができません。

そのため、1回200ml程度の水分をこまめに摂取する必要があります。

飲み物は常に手元に置いておき、1日に7~8回以上摂取することを心がけましょう。

起床時や食事中、入浴前後、就寝前、など水分を摂るタイミングを決め、定期的に水分を補給することが大切です。

・食事からも水分を補う。

水分は、飲み物だけでなく食事からも摂ることができます。

ほとんどの食事には水分が含まれており、1日の食事から約600mlの水分を補うことができます。

普段の食事の他にも、汁物や果物、ヨーグルトなど水分の多い食べ物をメニューに取り入れてみましょう。

また、食べた物を分解してエネルギーを生成するときの化学反応によっても1日に200ml程度水分を得ることができます。

・汗をかいた時はいつもより多めに水分を摂る。

食事から得る水分の他に1.5Lの水分を飲むことで、身体から排出される水分を補うことができますが、汗をかいた場合にはより多くの水分を必要とします。

汗とともに電解質も失われるため、スポーツドリンクや経口補水液などで水分とともに電解質も補いましょう。

・カフェインや糖分を多く含む飲み物を常飲しない。

日常的な水分補給は、スポーツドリンクや経口補水液ではなく、水で十分です。

スポーツドリンクや清涼飲料水等は塩分や糖分が多く含まれているため、飲み過ぎるとエネルギーの過剰摂取や血糖値が急上昇するおそれがあります。

カフェインは利尿作用や身体を冷やす作用のほか、睡眠の質が低下するおそれがあります。

まとめ

水分不足は様々なトラブルを引き起こす原因となります。

喉が渇いた時には既に体内の水分が不足している状態であるため、喉の渇きを感じる前に早めに水分を補給することが大切です。

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この記事の作成者:A.N(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ

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